June 29, 2007

The Dead Girl (2006)

deadgirlposter□監督:カレン・モンクリーフ

□出演:以下文中でご覧ください

□日本公開日: 未定
The Dead Girl Box Office Mojo

□オリジナルキャッチコピー: One life ends. Seven others begin. (易訳:ひとつの命が終わり、7つの命が生き始めた。)

本国アメリカでは2006年11月にAFI Film Festival で公開され、ハンガリー、ドイツ、台湾、オーストラリア、と2007年に入って、徐々にではあるが公開国を増やしているが、まだ日本では公開の予定がたっていない。この作品は是非とも公開して、多くの人に見て欲しいと思える作品だ。ジャンルは何かと言われたら、一本の映画として見たジャンルは犯罪物とも言えるし、スリラーとも言えるが、しかし、それぞれの短編はまさに人間ドラマ。

監督はTV出身のカレン・モンクリーフという女流監督。出演は錚々たる顔ぶれで、出演順に記述すると、トニ・コレット、パイパー・ローリー、ジョバンニ・リビシ、メアリー・スティンバーン、ローズ・バーン、ジェイムズ・フランコ、ブルース・デイヴィソン、メアリー・ベス・ハート、マルシア・ゲイ・ハーデン、ブリタニー・マーフィー、ジョッシュ・ブローリン。


ストーリーはというと、この作品は一人の少女の死体が発見されることから、その少女に関わる人々のドラマを5つの短編作品で繋げて行く。一つ一つがどんな話かを書いてしまうわけにも行かないので、最初の話だけを少し詳細に書きます。(結末は書かないよ。)

deadgirlepisode11.The Stranger (見知らぬ者)
少女の死体を発見するのは、少女とは赤の他人のThe Stranger である。彼女アーデン(トニ・コレット)は病気がちでいつも口汚く彼女を罵る母親と暮らしている、心に深いトラウマをかかえた女性。自分に自信がもてず、いつもびくびくしている。そんな彼女が自宅の近くの野原で少女の死体を発見する。死体は明らかに、刃物で酷く傷つけられ、死に至らしめられたことがわかる状態で、痛々しく放置され、枯れ草と虫が体中を這い回っている。少女の首には“Taken”(奪われた、抱かれたなどの意)という文字を模ったネックレス。彼女はどういう訳か、そのネックレスを死体からはずし、家に持ち帰ると空のコーヒーカップに入れ、キッチンの戸棚に隠すのだった。彼女はしばらく家事を済ませてから、警察に通報する。家の周りは警官や報道陣が集まり、大騒ぎになり、車椅子の母に「警察になんか通報したおまえは大ばか者だ!」と罵られる。アーデンがスーパーに買い物に行くと、彼女をTVで見た人々がこそこそと話をするのがわかる。レジで声をかけてきた ルディー (ジョバンニ・リビシ)は連続殺人マニアで、彼女をTVで見て綺麗だと思ったと言い、その夜彼女をデートに誘う。帰宅した彼女が、その夜のデートの為に化粧をしていると、何かを察知したかのように彼女の母は、彼女を部屋に呼びつけ、アーデンは慌てて化粧を拭いとって母の部屋へ行くが、結局母から見透かされ、再び罵倒される。アーデンはその時とっさに母の首に手をかけてしまう。寸前のところで、我に返り、荷造りをし、少女のネックレスを持って家を飛び出す彼女はルディーに会いに行く。

deadgirlepisode22. The Sister (妹)
10年以上もの間行方不明のままの姉のいる女性リー(ローズ・バーン)は、家族があまりにも姉の捜索に没頭するあまり、精神科に通いながら暗い生活を送っている。彼女は検死の仕事をしており、ある日、死んだ少女の遺体が搬送されてくる。

deadgirlepisode33.The Wife (妻)
年老いた夫婦、ルース(メアリ・ベス・ハート)とその夫カールの仲は冷え切ってしまっていた。カールが自分を避けているように感じるルースは夫への怒りを募らせ、仕事を放って夜な夜な一人でドライブへ出かけるカールに、遂に三行半を言い渡そうとしていた。結局朝になっても帰らないカールの代わりに事務所の仕事をするルースはふとしたことから、カールの私物の置いてある部屋から血にまみれた女物の下着や警察の行く不明者リストに載っている少女の身分証などを発見してしまう。

deadgirlepisode44. The Mother (母)
死んだ少女の母メローラ(マルシア・ゲイ・ハーデン)は警察で調書を済ませた後、娘が住んでいた場所へ一人赴く。そこで、生前の娘のルームメイトで恋人でもあった売春婦ロゼッタから、自分の娘が殺されるにいたるまで、家を出てどんな生活をしていたかを聞かされ、打ちのめされる。そして、娘には子供がおり、施設に預けられていることを知ると、ロゼッタにその施設へ連れて行ってくれと頼む。

deadgirlepisode55. The Dead Girl (死んだ少女)
クリスタが殺される数日前に遡り、彼女が殺されるまで。







この映画を見初めてすぐに感じたのは、間違いなく女流監督が撮っているということ。実際、わたしはこの作品についての知識は何もなかったのだが、2番目の話の途中でそれは間違いないと感じた。丁寧で、また女の性や心情をここまで表現できるのは女だと感じたのだ。そして、同時に、一つ目の話が終わった時に、まるで誰かが優しく肩に手を置いて「外に目を向けなさい。そして、辛ければ辛いと、誰かにいいなさい。」と言われているような気がした。この作品に出てくる全ての主人公について言えるのは、皆、それぞれが狭い世界(家族など)の中で苦悩し、内へ内へと入り込んでしまうのだ。そして抜け出せぬまま煉獄のような苦しみに押しつぶされてしまう。だから、外へ目を向けること。広い世界、違った世界へ、一歩でもいいから足を踏み出してみる勇気が、あなたを救うと言っているような映画だ。一人の少女の死を巡って、それに関わるそれぞれの人間の苦悩と決断。驚くような手法だが、この5つの話は一つ一つが完璧な短編映画として成立しており、それでいて、全てを繋げて見ると、これがまた完璧な一本の映画なのだ。家庭内暴力やいじめ、肉親同士の殺人が日本でも増加している昨今、この映画はそんな時代に苦しむ人々に、語りかけているようだ。


短編映画は演技の見せ場とも言える。それぞれの俳優の演技がまた素晴らしい。中でも、3話のThe Wife でそのWife 役を演じるメアリ・ベス・ハート(最近見たのは「エミリー・ローズ」で判事の役でした。)が年老いた体を曝して、迫真の演技をしています。死んだ少女役のブリタニー・マーフィー(シン・シティに出てたっけ)も凄く良かった。彼女こういう役が似合うね、こんなに可愛いと思わなかった。

deadgirlsupportedactors















日本でも今、ショートショートや短編がブームらしいので、その流れで公開される可能性はかなり高いと思う。短編映画の本質がわかる映画でもあるとわたしは思う。短編て短い中で、その前後、背景まで表現しなければならないはず。この映画でそのことがはっきりわかる。何度も見たい映画の一本かもしれない。


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