August 18, 2007
Premonition (2007)
□監督:メナン・ヤポ
□出演:サンドラ・ブロック、ジュリアン・マクマホーン
□オリジナルキャッチコピー:Reality is only a nightmare away.(易訳:現実はひとつ悪夢を越えた先にある。)
□日本公開日:未定
Premonition Box Office Mojo
本国アメリカでは2007年3月公開。アメリカではサンドラ・ブロックが出演しているからか、それなりの興行成績は上げているようだが、評価はあまり芳しくない。しかし、サンドラ・ブロックの演技は注目を集めたらしい。
【ストーリー】
新婚の夫婦リンダ(サンドラ・ブロック)とジム(ジュィアン・マクマホーン)。ジムはリンダを驚かせようと秘密で家を買い、何も知らないまま売却済みの家に連れてこられたリンダは、ジムがその家を買ったことを知らされ、これからの人生に夢と希望を抱き、幸福の絶頂にある。そして月日は過ぎ・・・
ベッドで目覚める彼女は、2人の子供ブリジットとメーガンにせかされようやく起き上がる。また忙しい一日が始まったのだ。朝食の準備をし、娘達を小学校へ連れてゆく、日課としているジョギングをこなし、親友に電話をし、ふと留守電が一件録音されているのに気づく、再生すると夫ジムの声。躊躇いがちな話し方で、動揺しているように聞こえる声で「ある女性にあったんだ、それで・・・君に言っておかなくてはと・・くそっ、キャッチフォンだ・・また後で・・」と言った切り、切れてしまう。リンダは夫に電話をすると留守電に「メッセージは聞いたけれど、よくわからなかったので、また電話して。」と残す。小学生の子供2人を抱え、毎日を忙しく繰り返す日々。これ以上の問題はもう受け止められないという心の余裕のなさが見て取れる。しばらくすると、ドアベルが鳴り、彼女がドアを開けると、そこには警官が立っている。警官はリンダの名前を繰り返し確認し、ジムが交通事故で死んだと報告する。いつのことかと聞くと、一昨日のことだと言うが、留守電は間違いなく今日の留守電だった。何かの間違いではないかと言うリンダに警官は間違いないことを説明する。警官は去り、あまりに突然の事態を受け止められず、涙を堪えるリンダ。小学校に娘達を迎えに行き帰宅すると、娘達にジムが事故にあって死んだことを伝える。母親も家に来ており、寝る前には葬式の準備について話をしようとするが、リンダはまだ心の準備が出来ていないといい、その夜はそのまま眠ってしまう。
翌朝、ベッドで一人目覚めるリンダはまず母の泊まった部屋へ行くが、そこには母はいない。階下のキッチンへ行くと、人の気配がする。そこには夫ジムが普段と変わらない姿でTVを見ながら朝食をとっていた。動揺するリンダに、夫は不可解な表情を浮かべ、どうしたのかを聞くが、リンダは答えることが出来ない。やがて、娘達も元気に起きてきて、まるで昨日のことなどなかったかのように、ジムとリンダに朝の挨拶をするのだった。
しかし、その日からリンダは現実と悪夢の間をまるで行ったりきたりするような、苦悩の日々を送ることになる。
何か特別ショッキングなことが起こるわけではない。この映画はスリラーとミステリーを盛り込んだドラマ仕立てになっている。しかし、リンダが夫の死を聞かされてから、ほぼ1週間、彼女はまるで過去と未来と現在をさ迷い、何が現実で何が悪夢なのかがわからない状態に陥る。当初は見ている側も同じような間隔になるのだが、以外にも早い段階でこの映画のテーマが見えてくると、そこから起こる謎にあまり驚きや恐怖は感じない。だが、それがこの映画での失敗なのかと言うと、それは違う気がする。恐らく観客はもっと自分達を翻弄して欲しいし、恐怖を感じさせて欲しいと思いながら見ているだろうから、そういう意味では裏切られるのかもしれない。

けれど、テーマがわかり始めると、よりその意味の深さを感じることが出来きる。しかし、ほんの1週間程度とは言え、曜日がぐちゃぐちゃになるので、主人公自体が必死にカレンダーに何が何曜日に起こったかを書き出して頭を整理するくらいだなので、見ている方も何がどうなっているのか掴みにくいことは事実だ。
2001年9月11日の同時多発テロで、旅客機に乗っていた人々の多くが、最後の言葉を家族に伝えるために電話をかけた。自分がもう死ぬとわかったとき、それまで言葉にして言えなかったことなどを家族に伝えるためだ。一人の人間の死はその死んでゆく人の後悔だけには終わらない。残された人間にも後悔を残すだろう。
この作品では、一人の女性が突然夫に先立たれた現実を受け入れるまでの心の葛藤と救いを描いているのだと思う。
この映画の結末の描き方が本当に適切だったのかどうなのかは別として、この作品は恐怖を求めて見るのであればお勧めはしないが、そうでなければ十部に見る価値のある一本だと思う。
「日々を生きているということが奇跡なのだ。」と映画の中の神父の言葉がこの映画の全てだ。リンダもジムも日々の忙しさと惰性に満ちた生活の中で、次第に幸福だった日々を忘れ、互いの大切さを忘れてしまう。つまり、あなたはいつ死んでも悔いがないか?というクラシックではあるが、9・11を経験したアメリカだからこそ、今改めて語るテーマなのだろう。
Premonitin とは予兆という意味。




