September 23, 2007
キャンディマン - Candyman (1992)
■忘れられない映画 その31
□邦題:キャンディマン
□監督:バーナード・ローズ
□出演:ヴァージニア・マドセン、トニー・トッド、ヴァネッサ・ウィリアムス
クライブ・バーカー原作の映画でわたしにとっての一番はやっぱ「ヘルレイザー」ですが(バーカー作品を全部見てるわけじゃないですけど・・・)、バーカーっぽさはこの「キヤンディマン」の方が強く感じます。それに一本の映画としてもよく出来てる。
【ストーリー】
ヘレンとアン・マリーは大学で都市伝説を題材とした論文の資料を集めていた。学生達と面談しその手の話しを聞いては、書き出す毎日。中でも鏡の前で“”キャンディマンという名前を5回唱えるとそのキャンディマンが現れ彼の鉤爪で切り裂かれ殺されるという話しに注目した。ある日ヘレンは掃除婦からガブリーニ・グリーン公団でのルーシー・ジーン殺人事件がキャンディマンの仕業であると聞き、ヘレンはさっそく図書館で過去の新聞記事を探すとそこには間違いなくルーシー・ジーンの事件が載っていたのだ。
ヘレンはアン・マリーを自宅に呼ぶと、アン・マリーにその事件の起こったガブリーニ・グリーン公団の広告写真ともう一つの良く似ているが異なる建物のの写真を見せる。なんと一方はヘレンが住んでいるマンションの写真だったのだ。同じ建設会社が設計し、そもそも公団として建てたがその周辺の環境の問題でマンションとして内装など作り代えて売り出したという。間取りはほぼ一緒なのでルーシーが殺されたとされるバスルームの洗面台の鏡張りの棚を外すと、そこには薄い板があるだけでなんと隣の部屋に筒抜けになっているのだ。ヘレンは殺人者がそこから侵入してルーシーを殺したと推測すのだった。その晩、2人ははしゃぎ、鏡の前で、「キャンディマンなんて信じてないでしょ?」と2人揃って、鏡に向かってその名前を唱え始め、結局アン・マリーは最後の1回を言わず、ヘレンだけが5回言ってしまう。しかし、何も起こらない。
ヘレンは論文の完成度を高めるためにアン・マリーとともに黒人の貧困層が住み、日々殺人事件が起こっているガブリーニ・グリーンへ行く。ルーシーの部屋は今となっては廃墟と化していた。迷わず洗面台のあるバスルームへ向かうヘレン。二人はそこにヘレンの部屋と同じ造りのの鏡張りの棚を見つけ、開けてみるとそこには、穴があいており、隣の部屋と通じている。怯えて引き止めるアン・マリーをよそにヘレンはカメラを手にその穴から隣の部屋へ入って行く。そこはルーシーの部屋よりも荒れ、壁には黒人の男の絵が描かれていた。よく見るとルーシーの抜け出た穴は調度目を剥いて大きく開いた黒人の男の口だったのだ。その壁に描かれた顔を見ているとヘレンは気が遠くなるようなめまいを感じた。部屋を出るとそこに赤ん坊と2人で住むステイシーという黒人の若い女に会う。2人は彼女からも話を聴くことができ、満足のうちに帰ってゆく。
その夜、夫であり大学の教授でもあるトレバーとその友人と食事をしていて、キャンディマンの論文を書いたことのある夫の友人はキャンディマンの起源を話し始める。キャンディマンはダニエルとう言う名の貧しいが絵の上手い黒人だった。彼の絵は村でも評判となり、村の富豪から美しい娘の肖像画を依頼されたことでその富豪の娘と恋に落ち、娘は妊娠する。怒った富豪は村の穀潰しどもを雇い入れると、ダニエルを彼等に襲わせ、彼の右手をのこぎりで切り取った。そればかりか、ダニエルを裸にして、蜂の巣から採った蜂蜜を体中に塗り、ダニエルは大量の蜂に刺されて死んだと言うのだ。
翌日ヘレンは一人、撮り損ねた写真を撮るためにガブリーニ・グリーンへ行き、ジェイクという黒人の男の子と出会う。ヘレンは彼から公団の敷地内にあるトイレで起こった事件について話を聴き、そのトイレに入って写真を撮っていると、そこに鉤爪を持った黒人の男をリーダーとしたギャングが現れ、殴られ気を失ってしまう。ジェイクの通報で男は捕まり、キャンディマンの噂は全てその鉤爪を持った黒人の仕業だと警察からも説明を受け、ヘレンはキャンディマンはよくある都市伝説に過ぎないと確信するのだった。
その後、公団で撮影したネガも全て彼女の手に戻り、アン・マリーからの知らせて、雑誌が彼女達の論文を掲載したいと言ってきたという話を聞き、意気揚々と一人駐車場で自分の車に向かって歩くヘレン。何物かに「ヘレン」と呼び止められ、振り返り答えると、そこにはロングコートを身に纏った見知らぬ黒人の男が立っている。彼女は何故かめまいを覚え、ふらふらとなんとか意識を保ちながら彼の言葉に耳を傾けると、彼はこう言う。「ヘレン。お前は私の存在を疑った。存在を疑われてはわたしは存在出来ない。」その男の右手は血にまみれ、手首から先は鉤爪が・・・。そして、ヘレンは逃げ道のない地獄へと導かれて行くのだった。
この作品を撮った監督はホラーよりもロマンティックな作品を手がけることの多い監督です。もしかすると、それがこの映画の成功の鍵だったのかもしれません。血は沢山出てきますが、恐怖映像を沢山見れる映画と思って見るとがっかりしてしまうかもしれません。しかし、クライブ・バーカーが得意とする世界は良く表現されていると思います。煉獄のような恐怖が繰り返され、あの世とこの世を行き来して操るキャンディマンによって、ヘレンはその煉獄に捕らわれてしまう。都市伝説がなぜ存在するのか?それは人々がそれを信じたいと思うから・・・。人々の心が都市伝説を作り上げている。現次元にある人々の意識が作り出す異次元の悪魔。なんか、絶対にありえない・・・と言い切れない怖さがありませんか?
この作品の雰囲気を独特なクライブ・バーカーの世界に近づけているもう一つの要素は音楽なのだと思います。美しい旋律が都会の風景とこの恐ろしいけれどどこか悲しい伝説を上手くブレンドしてくれているような気がします。映画音楽ってすっごく重要なんだな・・・と感じた一本でもあります。
冒頭で、キャンディマンの噂話を映像化したシーンで出てくる恋人同士の一人はサム・ライミの弟分のテッド・ライミで、ちょっと笑っちゃいます。
映画では大量の蜂が使われていますが、その大量の蜂と接する役の2人は大変だったでしょう。ヴァージニア・マドセンは蜂のアレルギーがあるそうで、彼女が蜂に覆われるシーンなどでは、常に救急隊が待機していたそうです。そして、大量の蜂を口の中に入れたトニー・トッド・・・俳優とは言え・・・良くやった!!今ならCGでしょうね。彼は一応、口の中にマウスピースのような物を入れて、蜂が喉に入ってゆかないようにはしていたそうです。ここで使われた蜂たちは生後12時間のものと決められていたそうです。なぜなら生後12時間の蜂は見た目は成虫と変わらないのですが、針はまだ柔らかくダメージを与えにくいからだそうです。そう言われても・・・よほど金積まれない限り出来ないです。
因みに、クライブ・バーカーの原作のタイトルは原題で “The Forbidden”なのですが、クライブ・バーカーが1978年に撮った白黒の短編“The Forbidden”とはまったく関係のない話です。こちらは、良く覚えてないですが、男が体中に刺青を入れ、その皮膚を丁寧に剥がされる話(?)です。超難解映画。DVDはバーカーのファンなら見る価値あると思います。わたしは、昔購入して持ってます。



