October 28, 2007

Mr. Brooks (2007) − Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

Mr Brooks Poster (big)□監督:ブルース・A・エバンズ

□出演:ケビン・コスナー、デミ・ムーア、ウィリアム・ハート

□オリジナルキャッチコピー:The man who has everything has everything to hide.(易訳:全てを叶えた男はあらゆる秘密をかかえている。)

日本公開日:2008年5月24日より
Mr. Brooks Box Office Mojo





アメリカでは本年2007年6月に公開されている本作。結構評判も良いようですね。アメリカでは既にDVDも発売されてます。

ミスター・ブルックスの心に再びあの渇き(飢え)が戻ってきた。それはまだそこにいたのだ。

ブルックスの心の中で彼自身ともう一人の男の声で、言い争っている。「お前はずっといい子にしていたんだ。やりたいんだろう。そんなに抵抗することはない。」と誘惑的な声がする。

アール・ブルックス(ケビン・コスナー)はトイレで手を洗いながら、パーティー会場での様子を聞いている。もうすぐ自分の出番なのだ。彼はパッケージ会社を築き、成功したビジネスマンであり、良き夫・良き父でもあった。その晩彼はポートランド商工会議所でその年の成功している男としてマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのだった。

帰りの車の中で、妻エマと話をしているアール。娘のこととなると良き父であっても、予測がつかない。妻が、娘ジェーンが大学を落第するのではないかと言うのを、気にも留めず娘を信じきっている。ふと上の空な表情をするアール。後部座席には男の影が。その男はアールの耳元まで顔を近づけると唐突に話しかける。彼の名はマーシャル(ウィリアム・ハート)「マン・オブ・ザ・イヤーになったんだ。ご褒美くらいいいだろう。」アールは「やめろ。マーシャル。そんな気はない!」ときっぱり言うが、マーシャルは「そんなの嘘さ・・」と鼻で笑う。
当然、マーシャルの姿や彼とアールとのやりとりはエマには見えていないのだ。そう。これはアールの心の声なのだ。

Mr Brooks 1














アールは結局、エマに今日の「ディナーではデザートが良くなかった。何か甘いものを食べてかえらないか?」とエマを誘う。後部座席ではマーシャルが拍手を送る。オープンカフェでパフェを食べるアールとエマ。アールはきょろきょろと周囲を物色しているようで落ち着かない。そこにはマーシャルもおり、そこから見えるダンス教室で踊る男女をじっと見つめる。

帰宅し、自分の部屋で目を閉じ何度も自分に言い聞かせる。「もう2度としないと誓ったはずだ・・・誓ったんだ・・・」すると、再びマーシャルの声がする。「なぜそんなに一生懸命戦うんだ・・・アール?」我に返ったかのように目を開くアールは帰宅して着替えをしている妻の元へ行く。優しく声をかけ、「もう少し起きていることにした。」と告げると今日のパーティでの妻を労いキスを交わすと離れにあるスタジオへ向かう。スタジオにはいくつも同じ黒い服が並び、同じ黒いブーツが並んでいる。そのうちの一式を手に取ると着替えるアールは夜の街へ出てゆく。

Mr Brooks 2













車の中ではマーシャルが興奮気味に「こうでなきゃ!長い間待っていたんだこの時を!!」とはしゃいでいる。アールはそんなマーシャルに「これは本当に本当に今度こそ最後なんだ!わかったな!」と諭している。

深夜暗い一軒の家。アールは手馴れた調子でその家へ忍び込む。家の中を歩き進むと男女のうめき声が聞こえる。声のする方へと歩き進むとドアの隙間から明かりがもれ、中を覗くとベッドで絡み合う男女がいる。デザートを食べているときに物色した人物だ。アールは懐からビニール袋に包まれた銃を取り出す。そこにはマーシャルの姿もある。何も知らずセックスを続けている2人の部屋に入ってゆくアール。落ち着いた様子で「やぁ。」と声をかける。慌てふためく女と男。女は今にも悲鳴を上げそうな様子だ。「静かにしろ」といかにも落ち着いた様子で嗜めるアール。女が悲鳴を上げた瞬間に、ビニール袋に包まれた銃をそのまま構えて女の頭を打ち抜く。すぐさま男にも一発。その瞬間身体を仰け反らせて、恍惚の表情を浮かべ、唸るアール。そのまま死んだ二人に近づこうとするのをマーシャルが引きとめる。ふと部屋に差し込んでいる外の明かりに気がつく。カーテンが開いていたのだ。「大変なミスを犯したもんだ・・・なぜ気づかなかったんだ」マーシャルがつぶやく。それでも冷静に窓に近づき「多分、捕まりたいと思っているからだろう。」と言い、アールは開いたカーテンを閉める。

誰にも見られていなかったのか?いや・・・なんと彼は写真まで撮られていたのだった・・・。


ケビン・コスナーの映画は久しぶりに見た。もともとあまり彼は好きではなかったのだが、これは大転身とも言える一本かも。。。ヒーロー系の俳優が悪役をやったからと言って、大抵の場合あまり汚れた悪役ややらない。この映画でも、どちらかと言うとアンチ・ヒーロー的な役柄ではあるが、ケビン・コスナー逝っちゃってます。殺した後、スタジオに戻って、本当は残しておきたくてたまらない、死体の写真を素っ裸で眺めながら・・・「許してくれ・・・許してくれ」と呟き、愛しそうに写真を眺める姿・・・。これはちょっと一味もニ味も違います。

彼の闇の部分であるマーシャルを演じるウィリアム・ハートもまたいいです。闇の部分と言いましたが、これはなんと言うのか、アールは実に聡明で頭の切れる男で、彼の人生での成功は恐らくこの客観的に自分を見るマーシャルの目があったからなのでしょう。つまり別個の人格というよりも一つの人格を2人で表現しているのだと思います。

実に面白い手法です。


物語はこれまた面白い展開で進んでゆきます。彼が殺人を犯すところを写真で撮った男はアールをゆするのですが、金目当てではありません。なんと!アールの巧みな殺しの手口を見て自分もアールが人を殺す現場に同行したいと言うんです。しかし、このエピソード自体は本筋ではありません。

Mr Brooks 4

























そして、アールの事件を担当する形振りかまわない女敏腕刑事をデミ・ムーアが演じます。最低亭主との離婚訴訟で慰謝料を請求されるくらいの男勝りな女の役ですが、彼女の頭脳明晰さがこれまた頭脳明晰な殺人者アールの気を惹きます。この2人の関係がまた面白い!しかし、これも本筋ではないのです。笑)

Mr Brooks 3









でもって、彼の娘ジェーン・・・・。ふふ・・・。とんでもない娘だす。


なんともとってつけたような意外な結末ではあるのですが、何故かそれも気にならないくらい、ユニークな話の作りで、わたしはかなり気に入ってしまいました。

物語だけではなく、この映画は静と動のコントラストがまたいい味つけになっています。心理学的・医学的な説得力はまったく無くても、この面白いキャラクター構成とそれぞれの絡み合いに完全に引き込まれてしまいます。ミスター・ブルックス本人のキャラクターはさほど新鮮味のないアンチ・ヒーローではあるのですが、その描写の仕方やプロットの組み立てが新感覚な感じで、日本公開が待たれるニコラス・ケイジの“Next”と似た感覚を覚えました。

好きか嫌いかははっきりしそうな映画ですが、わたしは好きだし、これは「あり」だと思います。この映画の結末は恐らく誰も想像できないと思いますよ。と言うか、あちこちに書かれているあらすじだけで判断しては損します。結末はちょっと苦笑いな感じですが、きっと見て損はしない本当にユニークな作品です。

音楽もと〜っても良いです。The Veils の Vicious Tradition を含むMr. Brooks Soundtrack。




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この記事へのコメント

1. Posted by バッキー   October 28, 2007 13:31
最近よく見に来てます。こんな映画があるなんて知りませんでした。日本で公開されたら絶対に見たいです。いつごろ公開か早く知りたいです。英語わかるとおトクなんですね。
2. Posted by 管理人   October 28, 2007 16:53
バッキーさん、

ご来訪ありがとうございます。こんな時代になっても、日本て海外の情報が入ってくるの遅いですね。残念ながらMr. Brooksの日本公開日はわかりません。来年になるのではないですかね。S.キング原作の「1408」が米でやはり6月に公開されていて、こちらは日本で2月に公開予定になっています。だから同じ頃かもしれないですね。わかったら、更新しますから、たまに覗いて見てくださいね。
3. Posted by あかひ   November 02, 2007 09:17
はじめまして!
好みの作品ばかりなので参考にさせていたいています。

これからもレビュー楽しみにしています。
4. Posted by 管理人   November 02, 2007 18:54
あかひさん、

ご来訪ありがとうございます。あかひさんのblogも訪問させていただきました。

確かにどこか共通する好みを感じます。とっても嬉しいです。 今度ゆっくり訪問させていただきますね。(実は今残業中・・・)

あかひさんのBlogの外観もとってもセンス良くて読みやすいですね。これからも宜しくお願いします。