November 04, 2007

Bug (2007) − バグ

bug poster□ 監督:ウィリアム・フリードキン

□ 出演:アシュレイ・ジャッド、マイケル・シャノン

□ オリジナルキャッチコピー:First they send in their drone... then they find their queen.(易訳:最初に奴らはオスを送り込んだ。そして、奴らはメスを見つけた。)

□ 日本公開日:2008年7月5日
Bug Box Office Mojo

2007年5月にアメリカでは公開され、いまだ日本では公開のめどが立っていない様子の本作。「エクソシスト」の監督ウィリアム・フリードキンが久々に腕を振るっています。米では既にDVDも発売に。ずっと見たかったこの映画!やっと見れた!


一瞬青白いライトの中アルミフォイルで覆われた部屋の隅に横たわる男の死体を写し、映画はオープニングクレジットへ。

オクラホマの上空から一軒の寂れたモーテルをクローズアップしてゆく。モーテルの外にはグラスを片手に、ジーンズを切り落としたショートパンツに汚れたタンクトップを着た女が立っている。アグネス(アシュレイ・ジャッド)はしつこく鳴る電話のベルに、仕方なく部屋に戻り電話に出る。きっぱりとした声で「もしもし。」と応えるが相手は無言。「ジェリー、あんたなの?!」と苛立ちを見せる。しかし相手は無言のまま。アグネスは相手を罵り電話を切ると同時に、受話器の横にあった吸いかけのマリファナに火をつけて一服する。

気持ちを切り替え、掻き集めた小銭を瓶に放り込むと、薄汚い布のバッグから取り出したくしゃくしゃな一ドル札を何枚か掴み取りがま口へと押し込む。蒸し暑い部屋で古く壊れかけているエアコンを叩き、噴出し口から出てきた冷たい風をタンクトップの中へ招き入れる。空いた酒瓶を2本ほど片付け、汚れた皿を水で洗い、服で濡れた手を拭いながら新たに一本のボトルを手に取り歯で瓶の蓋を開けたところで、再び電話が鳴る。今度はすぐに受話器をとり間髪いれず「ジェリー、Fuck you!」と言って切り、片手ではグラスに酒をなみなみとと注ぎいれている。そしてまたマリファナに火をつけるが、その間にも再び電話がなり、すぐに受話器をとると、「どこにいるの?出所したの?」無言。「あんた、いいかげんにしてよ!警察に通報してやる!あたしは銃を持ってるんだからね!」と言って切り立ち上がって戸締りをしようとするが、すぐに電話がなる。今度は立ち尽くし、電話をじっとにらみつけるアグネス。

bug 4





スーパーで買い物をするアグネスの姿。乱暴にめくらめっぽう思いつくままに商品を取り、カートに入れてゆく。背後から商品に手を伸ばした男に驚き慄く。彼女はそれまでの動きをぴったりと止め、通路の先の盛られた玉葱と置いてある空のカートをうつろな目でじっとみつめ何か思いに耽る。

アグネスは明らかに精神的に不安定でしかもアルコール依存のあるドラッグ中毒であることがわかる。

その夜、アグネスは働いている酒場で、その店を切り盛りしている親友RCから会わせたい男がいると言われ、RCとその見知らぬ男ピーター(マイケル・シャノン)が仕事明けにアグネスのモーテルを訪れ、3人はコカインと酒でパーティを始める。パーティ気分も冷めた頃、RCは酒場でトラブルがあったことを電話で知り、二人を残して酒場へ戻ることに。RCを送り出し、外を歩きながら、帰るというピーターを引き止めるアグネス。特に彼を気に入ってるわけではないが、自分の不安を解消するためでもあったのだろう。外で話をするうち、ピーターは自分はホモではないが、女性との関係を長い間持っていないし、自分はあまりそういう関係が得意ではないと告白する。アグネスは流れ者的な生活をしている彼に、その晩ソファで寝ることを許す。

朝、アグネスはシャワーの音と、コーヒーの香りで目覚める。コーヒーをつぎ、シャワールームから出てきた人影に「コーヒーを入れてくれてありがとう。」と声をかけると、なんとその人物はジェリーだった。2人は言い争い、ジェリーが彼女を殴り倒した時、ドアからピーターが様子を伺いながら入ってくる。ジェリーは嫌味な態度でピーターと名乗りあい挨拶を交わし、出てゆく。ピーターは倒れているアグネスを助け起こし、アグネスにアスピリンを与え、自分も昨夜から痛む歯のためにアスピリンを飲む。ピーターが買ってきたパンを食べながアグネスはジェリーのことを話し、ピーターは自分の話をする。洞察力に優れている様子のピーターはアグネスがジェリーは元夫で2人の間に子供はいないと言ったが、それは嘘だと見抜く。アグネスは本当はロイドという名の男の子がいたが、6歳の時にスーパーで行方不明になり、2年前に捜索を諦めたことを打ち明ける。まるで心のたがが外れたように、涙しながら話すアグネスは、彼女に理解を示すピーターに心を開き、一人では不安なのでもう一晩泊まってゆくようにピーターに頼む。ピーターはそこで、身体を震わせ、躊躇しながらも、たどたどしい口調で「君と寝てもいい。」と切り出し、その言葉を受けてアグネスは「いらっしゃい。」とピーターをベッドへと誘い2人は愛し合う。

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その夜、2人がベッドで眠っていると、突然ピーターが起き出し、虫にさされたと訴える。彼はベッドの上にいる虫をランプで照らし、アグネスに見ろと言うが、アグネスには見えない。ピーターはそれは植物に付くアブラムシのような虫だと説明する。ピーターから何度も、つまんだ虫を見せられるうち、アグネスにもそれは見えるようになる。ピーターはもはや服を着ておらず、ベッドのシーツをめくってまで虫を探し始めるのだった。そんなピーターではあるが、アグネスは彼の話を聞いていていると、自分が居心地が良いことに気づくのだった。


bu 2



















この映画を日本で公開するとして、配給会社がこれをどう紹介するか迷うところだろう。そして、この手の作品が受け入れられるかどうかも慎重に検討されることかと思う。アメリカでも、Si-Fi的なサイコスリラーと思って観た観客が期待を裏切られるケースが多かったようだ。確かに、わたしもポスターや予告編を見て、そういう印象を受けたが、そう思って見ると路頭に迷った感覚になるかもしれない。日本で公開されても良いレベルの作品なのだが、いったいいつになるのだろうか・・・。

この映画はオフ・ブロードウェイで上演された舞台を原案としているらしい。舞台で見るこの話はさぞかし、迫力があって、鬼気迫るものがあるだろうと想像できる。ほとんどが、狭いモーテルの部屋の中で演じられ、アグネスとピーターが次第に心の絆を強くしてゆき、やがては互いになくてはなくてはならない唯一の存在になってゆく。これは深い愛の物語であるとも言えるのかもしれない。しかし、彼らの絆が深まれば深まるほど、2人の狂気は加速して行くのだ。

以前に見て衝撃を受けた“Butterfly: A Grimm Love Story”はドイツで実際に起こった犯罪を題材にしていた。幼年期の心の傷により闇を抱えて生きてきた2人の男が出会い、互いの欲求“屠殺され食べられたい。”“人を殺して食べたい。”を満たしたことが結果として犯罪であったというものだ。

本作でのアシュレイ・ジャッド演じるアグネスとマイケル・シャノン演じるピーターの心の闇も互いを惹き付け、唯一の心のよりどころとした悪い相乗効果の結末なのだろうか。狂気の卵を抱えていたアグネスは、ピーターとの交尾によって、その卵を孵化させてしまうのだ。

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もちろん、簡単に言ってしまったら、ドラッグに溺れた人間の末路ではあるが、そこには人間の弱さとそんな人間が求める愛による癒しがある。

ウィリアム・フリードキンはリアリティーを追求する監督としても有名。もちろん誰もが知っている「エクソシスト」はその彼の手法が成功した例だが、わたしは本作でフリードキン健在!と思った。人物描写がまた素晴らしく説得力がある!


アシュレイ・ジャッドは私にとって「痛みを感じる女優」です。彼女の表情は本当に痛い!!そして、女優生命を棒に振るほどの勢いで醜く変貌した彼女の身体は腹の脂肪がはっきりとわかる生々しいセックスシーンをよりリアルにしています。二人がキスして離れる時の唾液の糸の引き方(多分のり状の物を使用して、あえてそう見せているんだと思う・・・。)がすごいです。うぁ・・・病気移りそう・・・って感じ。

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このドラッグに溺れて病んだ人間の狂気を映画館の大画面で見たいかどうかは別として、フリードキンの健在ぶりを確認したい方は是非見て欲しい一本です。


若くてぴちぴちのアシュレイ・ジャッド主演1995年の「聖なる狂気」はこちらでね。
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この記事へのコメント

1. Posted by あけみ   November 05, 2007 00:35
わー。見たんですね!この映画のトレーラー見て凄く怖そうって思いました!アシュレージャッドが大好きです。どんな姿を見てもかわいい人は可愛いです!でもそんな凄いシーンがあるなんてショックかも!
2. Posted by 管理人   November 05, 2007 13:29
いらっしゃいませ! アシュレイ・ジャッド可愛いですよね!。昔HONDAのコマーシャルに出ていた時もと〜っても可愛くって。わたしも大好きです。今回は自然に醜く変貌したわけじゃないと思いますが・・・女優魂というやつですか。たぶん。日本でも公開されるといいですねぇ!また遊びに来てください。
3. Posted by 小太郎   December 23, 2007 19:32
またお邪魔します。そうですかアシュレイ・ジャドは管理人さんにとっては痛みの女優ですか。何かこの映画深層心理に訴えかける映画みたいな。でも写真は血まみれのアシュレイの姿があるし。それも半端じゃない痛みが伝わってきました。虫とはいったい何なのかとか、アグネスの狂気の卵とはいったい。ドラッグに溺れた人間の狂気としてかたづけられるんですか。
だったらちょっとひねりが足りないような。でもこの作品絶対見たいですね。フリードキン健在。
あなたは狂気に犯されると言うキャッチいかがですか。
4. Posted by 管理人   December 25, 2007 01:24
小太郎さん、

この映画、あまりひねりはないですよ。見方によっては本当にドラッグに犯された人間の狂気の姿をストレートに描いているだけです。でも、この世界は普通の人間には理解できない世界ですよね。ストレートに表現されているからこそ、怖いんです。