July 19, 2008
世にも怪奇な物語 − Tales of Mystery and Imagination (1968)
■忘れられない映画 その39□邦題:世にも怪奇な物語
この映画は子供の頃に良くTVで放送されていた気がします。有名な監督が手がける3本の作品からなるオムニバス作品になっています。お気づきでしょうがタモリの「世にも奇妙な物語」はこのオムニバス映画からインスパイヤされたものかと思います。本作の英語のタイトルはイギリスでのタイトルにしましたが、フランスとイタリアの合作で多分“Trois histoires extraordinaires d'Edgar Poe”が原題です。
第一話:黒馬の哭く館 原題:Metzengerstein
監 督:ロジェ・ヴァディム
出 演:ジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ
【ストーリー】
美しく残忍な性格の女伯爵フレデリカ・メッツェンゲルシュタインは自分の屋敷で日々思いのままの生活をしていた。横暴な彼女は欲しいものは必ず手に入れる。男も女も、自分が求める相手には有無を言わせないのだ。そんな彼女には誰もが逆らうことなど出来ない。ある日森の中、馬を下りて歩き出した彼女のは獲物用の罠に誤って足を咬まれてしまう。苦痛に声を上げる彼女は離れたところにやはり馬を連れた男の姿を見つけ、「助けて」と声をかける。彼はウィルヘルムという名で彼女にとっていとこでもあった。フレデリカは自分の敷地の近くに住む貧乏なその男爵の姿を見ては、笑いものにしていたが、彼は彼女にも他の者たちの中傷もまったく気にも留めていない様子だった。ウィルヘルムはさほど急ぐ風でもなく、彼女の元へやってくる。互いの姿に一瞬見入る2人だが、フレデリカが「早く外して!」と命令口調で言うと、」彼は罠をはずし、「雌狐は罠にかかってケガをしていても、罠を外せばすぐに逃げる。」と話す。フレデリカは彼のその言葉と視線に戸惑い、一瞬俯く。再び顔を上げるとウィルヘルムの姿はもうどこにもなかった。
その日以来、フレデリカはウィルヘルムのことが忘れられなくなる。彼にもう一度会いたいという思いで、森へと出かけ再び彼を見つける。動物を愛する彼は無口で、彼女の姿を見ても声一つかけず、ただ黙って彼女の元にやってくる。寒い森でマントを羽織っているウィルヘルムに、フレデリカは「寒いは、わたしの屋敷では男が女にマントを貸すわ」と言うと彼は優しく彼女を自分のマントの中に包みこむ。気を良くしたフレデリカは「私の屋敷には野獣のような人間ばかり。無口なあなたも彼らとなら話が出来るわ。今夜来ない?」と誘うが、「お門違いだ。」と一言で素気無く断られてしまう。

機嫌を損ね、屋敷に戻った彼女は、彼女がしてきたやり方でしかそのどうにもならない気持ちを抑えることが出来ない。彼女は復讐しようと召使に彼の屋敷を燃やせと命令する。
火が放たれ、彼の屋敷が全焼したことを知らされ満足する彼女だったが、屋敷の中に飾られた多きな黒い馬のタペストリーに見入っている時、外の騒ぎを聞き駆けつけると、そこには真っ黒な馬が狂ったように暴れ、誰もその馬を抑えることが出来ないでいる。その馬は火事に追われてどこからともなく現れたというのだ。ところが、彼女がその馬に近づくと、とたんに馬は大人しくなり、手を差し出せば馬は彼女に身を任せ、彼女は馬の頭を撫でる。その時、召使の一人が現れ、彼女に告げたのは、ウィルヘルムの死だった。彼は愛馬を火から救う為に馬小屋へ入り、そのまま火に呑まれたと言うのだ。フレデリカはウィルヘルムの死は望んでいなかった。彼女はひどく動揺し、部屋へ戻ると、タペストリーの黒い馬がほとんど焼けてしまっているではないか。恐ろしくなり、召使を呼びつけると彼女はその馬の修復をしろと命令する。それ以来彼女は、彼女にだけなつくその暴れ馬に憑かれたように、雨の日も風の日もその馬と時間を過ごすために遠出するようになる。
第ニ話:影を殺した男 原題:William Wilson
監 督:ルイ・マル
出 演:アラン・ドロン、ブリジット・バルドー
【ストーリー】
額から血を流し、白い軍服の男が必死の形相で町を走り、たどり着いたのは教会の懺悔室。彼は神父に懺悔をしたいと迫り、話し始める。
彼、ウィリアム・ウィルソンは子供の頃から恐ろしいほどに冷酷で頭が良く、誰もが認める美男子だった。しかし、その邪悪さは幼い子供とは思えないほどで、仲間とつるんではターゲットとした者に対して執拗な苛めを繰り返していた。ある日、学友の一人を裸にしてロープで吊るし、沢山のねずみの入った樽の中すれすれまで引き下げては上げ、恐怖に慄く姿を楽しんでいるウィリアムと仲間達だったが、突然一人の少年がウィリアムの目の前に現れる。少年の背格好はウィリアムと同じくらいで、顔も彼に良く似ている。楽しんでいたところを邪魔されたウィリアムはその少年に詰め寄り、「お前は誰だ!」と訊くと、少年は答える「ウィリアム・ウィルソンだ!」と。その日から寄宿舎での生活に加わったもう一人のウィリアム・ウィルソン。ウィリアムは彼が気に入らず、ある晩眠っているもう一人のウィリアムにのしかかり、首を絞めて殺そうとするが、教師に見つかり二人とも放校されることになる。
懺悔室では、神父が自分の寄宿学校時代の話をするウィリアムに「子供の頃の悪夢がよみがえったというわけか・・・」と真剣に取り合わないが、ウィリアムは話を続ける。

その後青年になったウィリアムは、気まぐれで医学校へ進学する。そこで解剖の授業を受けるウィリアムの姿。その晩、仲間達とたむろして歩いているウィリアムは通りがかりの美しく若い女を捕まえると、彼女を解剖の授業さながらに、裸にして解剖台に縛り付け、メスを振り回しながら、昼間の授業の教授のマネをしながら、恐怖に震える彼女の身体に今にもメスを入れようとしているところへ、再び一人の男が現れる。ウィリアムはすぐにそれが誰だかわかる。なぜなら彼はウィリアムにそっくりだったからだ。現れた男は、ただ立ち尽くしているウィリアムと仲間達をよそに、女の縄を解いてやる。彼女は立ち上がり、自分を助けた男を見ると動揺し、とっさに、ウィリアムに助けを求めすがりつこうとすると、ウィリアムが手にしていたメスが彼女の腹部に刺さる。
懺悔室では神父が「彼女は死んだのか?」と尋ねるがウィリアムは「そんなことより!」とまくし立てて、その自分と同姓同名で背格好も顔も何もかも同じ男にその後も事あるごとに付きまとわれ、その挙句の果てに起こった信じられない事実について語り始める。
第三話:悪魔の首飾り 原題:Toby Dammit
監 督:フェデリコ・フェリーニ
出 演:テレンス・スタンプ
【ストーリー】
ローマでの映画撮影のために空港に降り立ったイギリス人の俳優トビー・ダミット。青白い顔に、ふらふらとした足取り、世界的に成功してきた彼だったが、1年前から仕事も来なくなり、ようやく来た仕事だった。彼はしばらく前から白い服の少女が白いボールを抱えて彼の側に現れるという幻覚を見ていた。彼にとってその少女は悪魔のようにも思えており、ローマに着いて、報道陣と関係者に迎えられ、TV番組出演のためTV局へ向う車の中でも、既に酒によっているような状態で、番組収録中も同様だったが、もともと人気の俳優。周囲はそれでも彼をちやほやしてくれる。イタリアのオスカーと言われる賞の授賞式にも招待されたトビーだったが、自分の出番までの間も、どんどん精神状態が悪くなり、自分が惨めに思えてくる。延々と続くように思われる授賞式、彼の出番になって、舞台へ上がり、華々しく紹介されながらも、彼が発する言葉に何故か誰も反応せず、彼は遂に自分の本音をぶちまける。会場から逃げ出してしまう。

まるで彼の為に用意されていたかのように置いてあるスポーツカー。鍵が渡され、彼は猛スピードで空港へ向かおうとする。狭い通りをけたたましく走り抜ける車。まるで闇雲に走らせているかのようだ。狂ったかのように車を走らせ行き着いた橋の入り口で、彼は再び少女を見る。金髪に真っ白い服を着て白い大きなボールを抱きかかえる少女。少女はいったい何のために現れるのか?その時彼はその少女が何者なのか確信を持つ。
エドガー・アラン・ポーの話らしい、怪奇な話3本。どれも同じくらい印象深く心に残っています。第一話「馬の哭く館」ではジェーン・フォンダと弟のピーター・フォンダが切なく悲しい運命の男女を演じています。
わたしはピーター・フォンダをそれほど好きだと思ったことはないのですが、今改めてこの作品での彼の姿を見ると、なんというか・・・美しい・・・と思ってしまいました。ほっそいです。そして、未だに悔やんでいる・・「なぜわたしはロジェ・ヴァディムの作品を観ていないのか・・・?」ずっとずっと見たいと思っていながら、見ていない・・・。特に「血とバラ」は学生の頃から見てみたいと思いながら機会を逃し、今に至っています。ジェーン・フォンダ主演の「バーバレラ」もまともに見た記憶があありません。ジェーン・フォンダってそんなに綺麗とは思いませんが、この作品での彼女はなんとも言えなく美しいです。特に、黒い馬と語らう姿・・・そして演技・・・やっぱ上手いです。ちょっとした表情が本当にいいです。そして、アラン・ドロン。第二話「影を殺した男」は、もう日本語のタイトルですぐに結末が分かっちゃいますね。
ドッペルゲンガーの様な話です。丹精な顔立ちのアラン・ドロンは冷酷で、顔色一つ変えず女をいたぶります。冷血漢な感じが良く出てて、そしてやっぱ美しいです。ブリジット・バルドーがまた、真っ黒な髪に当時特有の目の縁をこってりと黒く塗り、妖艶な姿d登場します。ドロン演じるウィリアムに鞭で背中を打たれまくります。第三話の「悪魔の首飾り」はなんともいいタイトルです。そしてこの作品の少女のシーンはずっと私の心に不気味に残っていました。この少女のまねっこしている映画をわたしは知っています。「フィアー・ドット・コム」と言う拷問生中継サイトの話で、ある意味「りんぐ」のパクリ映画で、そっくりな少女が出てきます。(写真はちっこいのがフィアー・ドット・コム)
主役のテレンス・スタンプもまたいいですねぇ。若い頃の彼の姿をそうは思い出すほどわたしも年取ってないですが(?)、こうして改めて見ると、レイフ・ファインズにルトガー・ハウアーの粘りを足したみたいな感じですね。話としてもこれが一番気味悪い話なんですが・・・実はわたしはフェリーニ氏との相性が悪く、どうしても眠くなっちゃうんです。だから授賞式でのシーンは、今見ても眠くなります。イタリア映画自体、どうも好きじゃないんだよなぁ・・・・。こってこてな感じが・・・。しっかし、このDVDをビックカメラの店頭で発見した時は、懐かしさのあまり手が震えました。しかも、DVD化されていたとは・・・。実はまだ見てないんですけど、日本語吹き替え版は、子供の私が自宅で見ていた頃のTV放送そのままなようです。TV用にカットされた部分は吹き替えがないので、字幕になっているそうで、そんなの見るのもちょっと楽しみです。おまけにこのDVDはググッドプライスでした!!!
巨匠といわれる3人と監督達なのでそれぞれの個性がしっかりありますが、一本の作品として凄く良く出来ているオムニバスですね。原題は全てその主人公の名前ですから、個性のぶつかり合いというより、融合した感じのオムニバス作品です。ゆったりとした時間の中で見たい一本。
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