July 12, 2008
BMW ショートフィルム The Hire (2002~)
■忘れられない映画 特別編□The Hire シーズン 1
2002年アメリカのBMWが自社の車を使用したショートフィルムを制作し、結局2シーズンで、8本の作品をリリース。当時はBMWのサイトでダウンロード出来たりしたようだが、DVDとしても発売され、現在では中古がわんさとアメリカのアマゾンで売ってます。YouTube でも観れるので、結構見てる人多いかもね。(英語/字幕無し)
そんで、これ面白いの?作品を手がけた監督や出演俳優はそうそうたるものですし、車が好きでもそうでなくても、(あ・・・わたし車のこと全然わかりません。)映画としても十分楽しめます。
The Hire とはその名の通り車の「ハイヤー」のことです。映画の中ではもちろんただのハイヤーではありません。ドライバー役はクライブ・オーウェンで、凄腕の運び屋です。
1. Ambush (奇襲攻撃)
監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:トマス・ミリアン
スーツケースをだいじに抱えた初老の男を運ぶことになったドライバー。夜の道でいきなり銃を構えた黒い覆面の男達の乗るヴァンに追われる。無線での会話を申し出る男達に従い周波数を合わせ話を聴くと。彼が運んでいる男はダイヤモンドを盗んで逃げているという。5カウントする間に車を停めないと奇襲攻撃を開始するというのだ。男を問い詰めるドライバー。その男は「ダイヤは呑み込んだ。捕まったら、奴らに腹を裂かれ殺される。なんとか助けてくれ!」と必死に懇願する。覆面の男が指を折って5数える間にドライバーは決断する。迷いの無いハンドルさばきで、奇襲攻撃を交わしながら闇を利用して敵を罠にはめ、自滅させる。男を約束の場所に運び届けるドライバー。そこは宝石商が並ぶ通りで、男はドライバーに約束の金を渡す。ドライバーは別れ際に「ダイヤを呑み込んだのは本当なのか?」と訊くと、男は無邪気な笑いを浮かべ、肩をすくめて去ってゆく。ドライバーも苦笑いで男を見送る。

ジョン・フランケンハイマーは60年代〜70年代にもっとも活躍した監督で、私自身がTVや映画館で見たもので記憶しているのは 「フレンチ・コネクション2 French Connection II (1975)」、「ブラック・サンデー Black Sunday (1977)」、「D.N.A./ドクター・モローの島 The Island of Dr. Moreau (1996)」、最後に見たのは「RONIN」というロバート・デ・ニーロやジャン・レノなど豪華メンバーで撮ったオーシャンズみたいな映画だった。初老の男を演じるのはトマス・ミリアンと言って、マカロニ・ウェスタン好きなら大抵知っている俳優かも。男っぽく、なんか泥臭い中にユーモアのセンスも光る一本。
【BMW 7 Series】 ■YouTubeでAmbushを見る。
2.Chosen (選ばれし者)
監督:アン・リー
出演:男の子(ごめん、名前わかんない。)
暗い港に着いた船。そこで僧侶から引き渡されたのは聖なる地位にある一人の少年。少年は命を狙われているのだ。ドライバーは少年から小さな金色の箱を贈られる。蓋を開けて中を見ようとすると、少年は「あなたが必要とするものが入っている」 と言い、ドライバーは箱を開けるのを思いとどまる。少年を別の僧侶の居る安全な場所に運び届ける途中、複数の車に狙われる。追っ手を逃れ、目的の家に入り、僧侶に少年を引き渡すと、少年はドライバーの手を離さない。少年が目でドライバーに僧侶の靴を見るように合図をする。見ると僧侶でありながらブーツを履いているのだ。ドライバーはその場を去るが、部屋では偽者の僧侶が少年に毒の入った注射を打とうとしている。様子を見ていたドライバーはすかさず僧侶を倒し、捕らわれてた本物の僧侶に少年を託し車に乗る。助手席にある少年から送られた金色の箱を開けると中には超人ハルクのバンドエイドが一枚入っている。耳にケガをしていたドライバーは、すぐさまバンドエイドを耳に貼る。

なんとも可愛い話だ。複数の車に追われる間も、ドライバーは少年の為に軽快なクラシック音楽をかけ、車はまるでその曲に合わせてすいすいと踊っているかのように、追手からすリ抜けるように逃げます。少年の代わりに追われているあのBMに乗っていたい・・・と思わせるような、優雅なカーチェイスです。動きがいいんだよこれが!!
【BMW 5 Series】 ■YouTubeでChosenを見る。
3.The Follow (尾行)
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ミッキー・ローク、フォレスト・ウィティカー
有名映画スターのマネージャーをしている男からその俳優の妻の尾行を依頼される。ただただ女を尾行し、どこへ行って何をしているのかを報告するのだ。妻を失わないためだと言う映画スター。女は若く美しい。しかし孤独で傷ついている。ある日荷物をまとめ、空港で長時間遅延の飛行機を待つ間、バーのカウンターにうつぶせになり眠ってしまう女。最初は遠くからの彼女の様子を伺っていたドラバーだが、眠る彼女の隣に座り、ただじっとしている。サングラスをかけたまま眠る彼女の顔を覗き込むと、彼女の左目は青いアザが痛々しい。夜の道を走るドライバー。彼女は飛行機で旅立った。彼はトンネルの中で映画スターのマネージャーとおちあい、彼に報酬としてあずかった札束を返す。「どういうことだ?」と訊かれ、「見失った。」と答える。


「恋する惑星(1994)」やキムタクの「2046(2004)」など、ファンタジックな映像で胸キュンな作品を得意とする香港の監督ウォン・カーウァイの作品。いかにも彼らしく、ちょっと不思議な風景が挿入され、ゆったりとした心地よい音楽と共に、夢の中のような尾行。夫に暴力を振るわれ、金に縛られて生きてきた彼女はなんとかその生活から脱したいと思っている。孤独で美しい女を尾行しながら、つかず離れずそっと見守るドライバー。空港のバーカウンターでのシーンは本当に胸がキュンとしますよ。
【BMW 3 Series and the Z3 roadster】 ■YouTubeでThe Followを見る。
4. Star (スター)
監督:ガイ・リッチー
出演:マドンナ
大物スター歌手を演じるマドンナ。黒い革ジャンの背中にはラインストーンでSUPER STAR と書いある。魅力的な瞳・女性らしい手・そして何よりも素晴らしいの声の持ち主である彼女・・・最低最悪の性格。いきなりマネージャーのグラントを呼びつけ、平手打ちを食らわす。「もたもたして、役立たずね!」そうかと思うと、「コーヒーがないよ!!」と叫び、手渡されたコーヒーに「冷めてないコーヒーって意味よ!」といらつく。いつもの車には乗らず、別の車にのり込む彼女。後部座席に座るとコーヒーを足の間に挟み、おおきなため息。「なぜ、車を出さないのよ。」とドライバーに嫌味な口調。「何かの間違いじゃないですか?この車は予約済みです。」としらばっくれるドライバー。そんなことにはお構いなしで、「ファンが私を待っているのよ!会場へ行って。」とまったく動じないどころか、再び怒り嫌味の連打。「分かりました。」と車を出し、信号で携帯に出るドライバー。なんと相手はグラントだ。「彼女には十分楽しんでもらってくれ。朝飯・昼飯・夕食のフルコースでいってくれ。」

ドライバーの今回の仕事は客を運ぶだけではない。客はマネージャーのグラントで、彼の依頼は彼女をこらしめること。後部座席では口紅を塗っている彼女が、再び嫌味を言う。紳士的に返事を返すドライバーだが、車を急発進。その後は停まることなく、猛スピードで超過激な運転。彼女は後部座席でゴロンゴロン転がりまくり、ひっくりかえります。減速無しで、会場に乗り入れたBMが車体をスライドさせて急停車すると、ファンと報道陣の前に投げ出される彼女。なんとコーヒーがズボンの股の部分をぐっしょり塗らしている!一気にカメラのシャッターが切られ、性格ブスの大スターは無様な姿をさらすことに・・・

痛快極まりないこの一本。この作品に出ているマドンナはある意味、あのセンセーションを巻き起こしたエロティックサスペンス映画「ボディ」を超える体当たり演技って感じ。性格ブスな大物スター歌手を快演しています。これも監督が亭主のガイ・リッチーだから出来たんだろうね。何度見ても面白いです。スカーっとするよ!!!ガイ・リッチーの映画はちょっと私の好みから外れているんですが、わたしの中ではこれくらいが調度いいです。
【BMW M5】 ■YouTubeでStarを見る。
5. Powder Keg (火薬樽)
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ステラン・スカルスガルド、ロイス・スミス
ドライバーは国連の依頼で戦地に取り残された一人のアメリカ人カメラマンを助けに行く。負傷した彼は車に乗り込むが、民間とは言え敵地から抜け出すのは一触即発の危険を伴っている。車の中で意識を保たせるためにカメラマンに話しかけるドライバー。なぜ報道カメラマンになったのかを尋ねられ、「わからないが・・・お袋が、お前は世界を見ろと言ったからだろう。」と答え、自分は戦場を見てきたが誰も救うことが出来なかったと話す。彼は自分がもう駄目かもしれないと思い、カメラマンにフィルムをニューヨークタイムスへ、首からさげていた認識票を自分の母親に渡してくれとドライバーに託そうとするが、「心配するな、自分で持ってゆける。」と勇気付ける。その認識票には点字で彼の名前が記されていた。

ヘリが現れ彼らの行く手を阻む。車に追われながらも、なんとか窮地を脱出し、国境に到着するがそこで内地の警備隊と直面する。身分証を見せるが、執拗に尋問する警備の男は無謀にもドライバーの頭に銃を突きつける、すると突如後部座席からカメラのシャッターを連写する音。興奮した警備員はドライバーを今にも撃つ勢いだ。「写真を撮るのを止めろ」と男に言うがシャッターは止まらない。まさに危ういところで、ドライバーは車を急発進し、再び窮地を脱する。「やったぞ!国境を越えた!」と喜びの声を上げるドライバーだが、既に男は息絶えている。ドライバーは、男の認識票と彼の死を報道した新聞を手に彼の実家を訪ねる。ドアから年老いた女性が現れ、呆然とした表情で彼の声に耳を傾けている。「もう新聞でも読んだと思いますが・・・」と伝えようとしたところで、ドライバーはその女性が盲目であることに気付く。

この作品が一番好きです。何度見ても泣けてしまいます。メキシコで実際にあった事件を基にしているとも言われるお話しですが、この監督ってあの「バベル(2006)」の監督ですよね。。。「バベル」見てないんです・・・・・。今回ブログを書くまで、この作品が彼のものとは意識していませんでした。。。。このほんの10分弱の作品の中で、ものすごく密度の濃い、社会派の人間ドラマを見せてくれます。そして音楽がまた心の底の底まで響き渡ってきます。
【BMW X5】 ■YouTubeでPowder Kegを見る。
シーズン2へ続く・・・・



