September 18, 2008
ハードキャンディ − Hard Candy (2006)
■ 忘れられない映画 その45□ 邦題:ハードキャンディ
□ 監督:デヴィッド・スレイド
□ 出演:パトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ
ネット社会の落とし穴。出会い系サイトにはまることの怖さと、ロリコン趣味への警告。ゆっくりなめてじっくり甘さを楽しむ。一気にカリッと噛んで広がる甘さを一気に飲み干す。でも時には歯を折るほどの固いキャンディもあるのです。ハードキャンディは勃起したペニスという意味もありますが本作を見た男性は萎えて再起不能にならないようにね…!ほんと、面白かった!!
【ストーリー】
PCのチャット画面。二つのハンドルネーム。レンズマン319とソングガール14のチャット。君の写真を撮らせてよというレンズマン319に遂に応じるソングガール14。
待ち合わせの場所は人気の多いカフェ。フード付きの赤いコートを着てチョコレートケーキを食べるボーイッシュでまだまだあどけなさたっぷりの少女の後ろ姿を写し出す。背後からセンスの良いスーツ姿で30代前半の男が声を掛ける。ビクンとして、振向いたその顔は少年のようでもあり、巻き毛のベリーショートヘアに赤ん坊のように若干焦点のあっていないようなまなざし、そして少女らしい瑞々しさをたたえた唇。どう頑張っても20代には見えない彼女はヘイリー。

男は身なりも良く、しゃれた眼鏡がいかにもアート系な雰囲気で、ガツガツした感じはまるでしない。彼はプロのカメラマンで名はジェフ。二人は席に着き話始める。明らかに不釣り合いな二人。ヘイリーは精一杯大人の女性を演じて、ジェフの気を惹こうとしている。一方ジェフは楽しげにそんなヘイリーに付き合い、うっかり自分が14歳であると言ってしまった彼女に、十分大人っぽいよとおだてたりする。ヘイリーが大好きだと言うゴールドフラップのMP3をジェフがダウンロードして持っていると聞き、結局彼の家へ行くことになる。二人が店を出ようとレジで支払いをする時、壁に掛けてあるTシャツを見たヘイリーがかっこいいTシャツと呟くと、ジェフはそのTシャツを買ってやる。遠慮しながらも嬉しそうなヘイリー。女性用のトイレの前でトイレに入ったヘイリーとドア越しに話をするジェフ。すれ違う人は多少怪訝な表情で彼を見てゆく。トイレのドアがさっとあくと、下着姿でおどけるヘイリー。次にドアが開くと、買って貰ったTシャツを着ている。彼女は結局もとの格好で出て来る。二人は彼の車が停めてある屋上の駐車場へ。彼女は彼の車を見て興奮気味。「これからどこへ行くか、送ってきてくれたお姉さんに電話して知らせなくていいの?」とジェフに聞かれ、「それより、ドライブが先よね!」と車の助手席に乗り込む。

ジェフの家に着くと、落ち着かない様子のヘイリー。逆にリラックスしているジェフは、彼女に飲み物を勧めるが、「中身の分からない物は飲まない主義よ!」とヘイリーは自ら彼の冷蔵庫へ行き、二人分のスクリュードライバーを作り、グラスを渡す。ジェフのベッドルームで、壁に掛けられた彼の撮影した女性たちのポートレートの一つを取上げると、ジェフはその女性が彼にとって特別な存在で、別れたが未だ思いを寄せていると話す。ヘイリーに促されてスキリュードライバーをあおったジェフは話しているうちに目がかすむのを感じる。ポートレートの女性の様に自分も撮って欲しいと、はしゃぎ、リビングのソファに駈け登ると、音楽に合わせて踊り始める。ところがジェフは、ふらつきながら彼女に近づくものの、意識を失ってしまう。

目覚めたジェフは自分が椅子に縛られていることに気付く。そこには、さっきまではしゃいでいたヘイリーとはうって変わって、陰湿で、嫌味な表情でジェフを見るヘイリーがいる。彼女はそこでジェフが少女趣味であることを責め、証拠を見つけ出すと言う。自分でも学校では優等生だっと言うヘイリーの推理はこうだ。普通の男の部屋にはポルノ系の写真などがあって当然だが、この家には何も無い。それが不自然だというのだ。そして、かならずどこかに少女趣味の証拠となる写真が隠されていると言うのだ。身動きの取れないジェフを尻目に、家中を探し回るヘイリー、やがて、リビングの箱庭の小石に埋もれた金庫を見つけ出す。それまで、証拠などないと言っていたジェフの額に、じわじわと冷や汗がにじむ。金庫の暗証番号までは分かるはずが無い・・・ところが、トリッキーな質問を繰り返し、返事をしないジェフの表情から彼女はいとも簡単に暗証番号を解いてしまう。金庫の中には誘拐され行方不明のままの少女の写真がある。極普通の少女の写真で、みだらなものでもなんでもない。それが金庫に収められていること自体に、少女の失踪にジェフが関与しているという確信を強めるヘイリー。ジェフは必死に否定し、隙を見てヘイリーを蹴り飛ばす。ヘイリーが倒れ、ジェフはホイール付きの椅子で、ベッドルームへ行き、なんとかロープを緩めながら隠していた銃を手に取るとリビングへ戻る。ところが隠れていたヘイリーは彼の背後からラップで彼の顔を覆い、必死の抵抗もむなしく、ジェフは再び気を失ってしまう。

次にジェフが目覚めた時、彼はテーブルの上にロープで縛られた状態で仰向けに横たわり、ズボンを脱がされた彼の股間の上には氷の詰まった袋が置かれている。目覚めたジェフに、手術をする外科医のようなエプロンを着たヘイリーは説明する。これから彼の睾丸を切り取る手術をすると。なぜそんなことをするのかというジェフに彼女は答える。それは、大人になっていない少女がセックスを強要されるということは、肉体的にも精神的にも不能になるようなものだと。ジェフがセックスが出来ない身体になることで、その痛みを味あわせるためだと言うのだ。なんとか、ヘイリーの情に訴え、泣いて止めてくれと懇願するジェフ。しかし、ヘイリーにそれは通用しない。氷で冷やされて、感覚がないままだが、ヘイリーはいよいよ切除を始める。
汗をかきながら、慎重な面持ちで、手際よく手術を進めて行くヘイリー。ただただ泣くしかないジェフ。手袋をした彼女の手は血に染まり、「わたしって、才能あるかも・・・」と言いながら、最後の処置を施す。ヘイリーは血まみれの睾丸を手にキッチンへ行くと、ディスポーザーの中へ・・・ジェフは自分の睾丸がゴミ処理機で砕かれる音を聞く・・・。
**ネタばれあり**
さて、この映画、ヘイリーが赤いフード付きのコートを着ていることから、赤頭巾ちゃんをイメージしているかのように見えるのですが、実は制作側にはまったくそんな意図はなく、日本のオフィシャルサイトで狼と赤頭巾をモチーフにしただけで、制作側はそれで、「へぇ!」と気付かされたらしいです。おまけに、この話は、女子高校生が数人でつるんで中年のサラリーマンをホテルに誘い込み、薬を飲ませて財布を抜き取るという、日本で起きた事件にインスパイアされているということです。
世界的に観ても、日本人が一番ロリコン趣味なんじゃないかと思いますから、この作品を観て、ちょっとドキッとする男は結構いるんじゃないかな・・・。登場人物は片手で数えられる程度。ほとんどが狭い家の中で繰り広げられるという、その密室感がまたたまらなく、スリリングです。
結局、ネタばらしをしてしまいますと、ジェフ君の息子さん達は無事親子関係を維持しており、クリップでおちんちんを挟まれていただけだったという・・・情けない落ちがあります。当然、それから、ジェフの怒りは頂点に・・・なんとかこまっしゃくれたガキを退治してくれようと奮闘しますが・・・ヘイリーの方が一枚も二枚も上手を行ってるわけです。
最後までドキドキハラハラ・・・そして、本当にジェフが少女誘拐に関わり、殺人を犯したのか?ヘイリーに追いつめられ、ジェフは何を白状するのか?そして、ヘイリーはなぜ彼に制裁を加えようとするのか?

観終って思い出したのは、ジョディ・フォスター主演の「告発の行方(The Accused (1988))」という映画。主人公の女性は集団レイプを受け、それを告発しますが、レイプしなかったが現場でそれを見て囃し立てた者も犯罪者であるということを訴えた作品でした。実際、ジェフがどこまで少女失踪に関わっていたかなど関係ないのです。少しでも関わっていたということは、逃れられない事実として、実際にレイプしたか、実際に殺したかによらず、彼も罪人なのだということでしょう。謎の少女ヘイリーとその少女は何か関係があるのでしょうか?それも分かりません。しかし、最後にジェフが彼女に「君はいったい何物なんだ・・・」と聞くと、ヘイリーは「あんたが犯した全ての女の子」と答えます。

そう・・・「見てるだけだから・・・」。ヘイリーにそれは通用しないのかも・・・あなたは大丈夫?
監督はAphex TwinのPVなども手がけたイギリス人デヴィッド・スレイド。サンダンス国際映画際に出展されたこの作品は彼の初長編映画。2007年10月にはジョシュ・ハートネット主演で、サム・ライミ制作の異色吸血鬼ホラー"30 Days Of Night"が公開されています。舞台はアラスカで、冬の間太陽が出ない30日間に吸血鬼集団がやって来て小さな町の住民を片っ端から戴いてゆくという話。ジョシュ・ハートネットが斧で吸血鬼になりかけの人の首をたたき切るんをもろに見せます。日本でも公開されると思うのですが、いつかは不明。
ちょっとぷちっとしてみてくれませんか?




