October 04, 2008

デス・ロード 染血 − Wind Chill (2007)

Wind Chill Poster■忘れられない映画 その49

□邦題:デス・ロード 染血
□監督:グレゴリー・ジェイコブズ
□出演:エミリー・ブラント、アシュトン・ホームズ

日本では劇場公開なしで2008年8月にDVDへ直行してしまった本作。

意外な拾い物的良い作品でした。



【ストーリー】

大学で講義を受ける一人の女子学生(本作では名前がついていませんので、以後俳優名で記述:エミリー・ブラント)は講義中に携帯電話のメールを見ている。「授業は終わった?」という母親のメール。その日はクリスマスで帰郷することになっているのだ。いつもなら飛行機で帰るところだが、気分を変えて、バスで帰郷しようかとメールで帰すブラント。しかし、母の提案で、大学のキャンパスにある掲示板で車を持っている学生が出す同乗者を募集する案内を探すことにする。

Wind Chill 1












駐車場の車の中、居眠りをしている青年(アシュトン・ホームズ)。彼がその日デラウェアまでの同乗者を募集していたのだ。ドアを叩いて起こすブラント。自分は約束の時間より何時間も遅れて来たにも関わらず、「入り口に近いところに停めといてよ。」と文句を言う。慌てて、車から降り、トランクを開けるホームズだが、中はガラクタで一杯。「アパートを追い出されて・・・」と情けない。車もかなりおんぼろで、呆れ顔のブラント。なんとかガラクタを押しのけて自分の小型のスーツケースを押し込むが、スーパーの袋を忘れてしまう。乗り込んで、半開きの窓を閉めようとするが「それ以上閉まらない」と言われ。まったく憂鬱になる。そもそもホームズ自体、痩せ型に白い肌、携帯すら持っていないという退屈な感じ。セックスアピールのかけらもない。ブラントにとっては、どうでも良いタイプの男なのだ。そこ彼とこれから狭い車の中で6時間も過ごさなければならない。

既に午後3時を過ぎ、ようやく、車を走らせるが、ブラントは携帯電話で母親とずっと話をしている。次第に苛立つホームズは、怪訝な顔で彼女を見る。その態度い気付いたブラントは、電話口で「誰かさんが怒ってるわ・・・誰がドライバーかって?」と言いながら、嫌がるホームズに携帯のデジカメを向けると写真を撮り、電話を切る。かなり不機嫌なホームズは「話すなら僕と話せよ!ドライブは分業だろ!」と文句を言う。口の減らないブラントだが、いかにも仕方ないという感じで、軽く同郷の話や大学の授業の話などするが、あっと言う間に話は続かなくなる。

Wind Chill 2












途中立ち寄ったガソリンスタンドで、店を出ようとする二人にレジの男が忠告する。「絶対に本線をそれるな」と。再び、雪に囲まれ景色の変わらない車の中で会話をするうちに、同郷であるというホームズの話に、どこか不信を感じ始めるブラント。そんな時、なんの前振りもなく、本線から林道に入ってゆく車。「いったいどういうつもりなの?」と騒ぎ出すブラント。ホームズは「君が、同じ景色ばかりで退屈だと言うからだよ!これはただの近道だ!」と説明するが、ブラントは、なんとか本線に戻らせようとまくし立て始める。突然、前方から車のヘッドライトが。そしてラジオからはジングルベルの曲が流れ出す。二人の車は、細い道でスピードを上げて向かってくるその車を避け切れず木に衝突してしまう。

ブラントはケガを免れ、気を失っているホームズを残して、携帯電話を手に車を降りる。谷で電波を拾おうと携帯を高々と宙にかざしているブラントの背後からホームズが声をかける。ホームズは、あんなに激しくすれ違ったはずの車のタイヤの痕跡がまったく無いことに気付く。車に戻り、エンジンを吹かすが、車は動かない。完全にパニック状態で、興奮しているブラントはとにかく全てホームズのせいだと怒りを抑えられない。「ガソリンスタンドまで行って助けを呼んでくるけど、僕と一緒に来る気はない?」と冷静に話すホームズだが、ブラントは断固として行動を共にすることを拒む。

Wind Chill 3














既に夕方で、辺りは暗くなり、一人で待つブラントは車の外を人が歩いているのを見つける。怯えながらも、出て行ってその男に声をかけるが、男はまったく聞えない様子。その日は夜から激しい寒波が遅い、ましてやそんな森を抜ける人気の無い道に人が居るとは・・・しかもその男は道をそれ、森の中へと歩いていったのだ。意外にも早くホームズが戻り、震えながら、男が居たので助けを求めたのに、その男は森の中へと消えていったと話すブラント。ホームズは男を追いかけるが、姿はない。

時は刻々と過ぎ、真っ白な雪に覆われた激寒の暗闇の中、その日会ったばかりの若い2人は、その森で恐怖の一夜を過ごすことになる。

「プラダを着た悪魔」で最高にチャーミングな脇役エミリーを演じていたエミリー・ブラント。プラダでの演技はかなり評価が高く、出演作が続く中で、主役をはったものの・・・お金にはならなかったみたいですね。残念。昨今のホラー映画では切り株映像が当たり前で、見るほうもそれを期待している人が多いのではないでしょうか?しかし、本作は、そういった目で見せる恐怖は一切ないので、2人の俳優の演技がとても重要になってきます。

恋人同士が怯える状況ではなく、ほとんど初対面で、しかも相手を信頼出来ない。それでも、狭い車の中で互いに助け合わなければならない状況。大学からのドライブの間の会話で、いかに2人が気が合わないか、そしてブラント演じる女子学生の気の強さ、ホームズ演じる男子学生の不器用さと頼りなさ。しかし、変に思わせぶりに、その男子学生を怪しい男のようには描いていないのも好感が持てます。観客がすぐに感じ取れる、「多分」この男子学生は女子学生のことが好きなんだ・・・と言うこと。ただ、それがちょっとしたストーカーかもしれない・・・まさかこんな可愛い顔して、森の中で変なことしようって????多分アシュトン・ホームズの顔を見たら、心の半分では「そりゃないだろぉ・・」と思います。ここで、B級丸出しの映画だったら、ところがどっこい彼は殺人鬼!みたいな落ちが来るんでしょうけど・・・・。

主人公2人に名前がないのも、この物語で2人が赤の他人で名前を呼び合わない関係が、陥る状況にも生きてきます。そして、最後の場面にも生きてくる気がします。

2人のドライブ中に、大学での授業の話をしますが、女子学生は理工系で、男子学生は現代哲学かなんかを専攻しています。そこで彼女が輪廻転生とニーチェの永遠回帰の違いを彼に尋ねます。「輪廻転生は同じ魂が何度も生まれ変わること。永遠回帰とは同じ現象を何度も繰り返すこと。」森の中で繰り広げられるのは、どちらかと言うとこの永遠回帰のよなものということでしょう。つまり、映画「呪怨」の中のあの家の中で起こっていること。怨霊が行き場を失い、その場所で恐ろしい事象を繰り返し、死んだ者はその地獄から抜け出せずにいるのです。この2人はそこに巻き込まれてしまうのですが、そんな話は単にこの2人の若者の物語の複線のようなものです。

Wind Chill 5















2人はかなりの間、互いに敵対し続けます。しかし、恐ろしいことに巻き込まれ、どっかのB級ものの様に急激に心を通わせるようになってしまうのでなく、互いの性格描写をしっかりと土台にしながら、ゆっくりと互いを思いやるようになってゆきます。

ちょっと、切ないラストは、繰り返しこの映画を見るとさらに深く、切なく感じられることでしょう。

ホラー映画を見るつもりで見るより、性格的にどこか欠陥のある2人の若い男女が、恐ろしい状況の中で、互いに欠けている物に気付き、人を思いやる心を身をもって理解し、大きな成長を遂げるという、青春映画とも言える一本です。

エミリー・ブラント上手い!プラダでは彼女が一番光ってたと私は思います。プラダは何度も繰り返し見てしまう作品ですが、それは一重に彼女とメリル・ストリープを見るためと言い切ります!!

エミリー・ブラント Wallpaper















因みに、この作品の製作者の中にはジョージ・クルーにーやスティーブン・ソダーバーグが名を連ねています。監督は「クリミナル」で成功したグレゴリー・ジェイコズス。

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この記事へのコメント

1. Posted by あかひ   May 21, 2009 12:09
こんにちは
こちらを参考にさせていただいて「デス・ロード」見ました。(しかし・・原題「WIND CHILL」でも良かったですよね。)
私もこの映画とても好きです。一緒に知らない人と同乗しているような・・好きになった途端に大切な人を無くしてしまったような・・とても切ない気持ちになりました。
最後のシーンがツボですよね。

トラバが出来なかったのですが(こちらの不具合です)また更新してくださいね。
2. Posted by 管理人   May 21, 2009 20:19
あひかさん!
こんな、鼻ちょうちんだしっぱなしのブログにコメントいただき、心底嬉しいです! ありがとう!この作品は、上質なホラーと思っています。CGを楽しむのもいいですが、こういう作品を忘れない様にしたいですね。また復活させたいと思いながら、忙しくて…。

声かけてくれてありがとう!

3. Posted by 管理人   May 21, 2009 20:21
ご…ごめんなさい!あかひさんですね(汗) ありがとう!

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